終わらない 1 年
こんにちは。iGEM TOYAKU(東京薬科大学)の鈴木麻心です。今年のチームリーダーをしていました。2023年は特に、たくさんのiGEMチームの方々と交流する機会や発表の場をいただけたように思います。iGEM TOYAKUと関わってくださった全ての皆様にお礼を申し上げます。
iGEMを初めてよかったと思うことの一つとして、面白い人たちと出会うことができるというのがあります。日本の中だけでもこんなに個性的で尖った人たちがいるのだから、Jamboreeでは一体どれだけの出会いがあるのだろうと、今からわくわくが止まりません。様々な審査基準があることや、アマチュア向けの大会である性質上、多様なバックグラウンド(生物分野に偏っているかもしれませんが)を持った人がいることもiGEMの面白さに奥行きを生んでいそうですね。
ずっと新規立ち上げのチームのような顔をしているTOYAKUですが、実は結成から2年以上が経ちます。一向にJamboreeに出場しないまま2年が過ぎましたが、仮にiGEMチームとしての1年がJamboreeに出ることでリセットされると考えるなら、私たちはまだ⻑い⻑い1年の途中にいるのかもしれません。
Japan UnitedのGrand Prize獲得をはじめ日本チームが躍進した2023年でしたが、iGEM TOYAKUにも大きな変化のあった1年でした。
iGEM TOYAKUの2023年(チームリーダー視点)
1 年前、「iGEM に出場する」という目標は言葉だけで、具体的な計画や行動につながることはほとんどなかったように思います。チームリーダーになる前は「いつか面白くなるだろう」と受け身な姿勢で過ごしていました。しっかりとiGEMに興味を持ち始めたのは、昨年のミートアップの開催をお手伝いしたことがきっかけでした。ふわふわと活動していた私は、昨年11月のミートアップでiGEM2022に出場した方々のお話を聞いて、「iGEMって本当に実在するんだ」とすっかり感動してしまいました。しかしiGEMに憧れれば憧れるほど、当時のチームの現状やチームリーダーとしての力不足に悩む日々でした。そのときの私はチームに自分一人だけでいるような感覚で、ただ他のチームに憧れることしかできず、いっそのこと全てを投げ出したいような気持ちでいたのを覚えています。そんな中でも春ごろのミートアップや超異分野学会への参加は、同じようにiGEMを目指すチームの方々と悩みを共有したり、iGEMへのイメージを具体化したりすることができる貴重な機会になりました。iGEM Japanコミュニティが、この頃のiGEM TOYAKUを支えていたと思います。
ゴジラバクテリアプロジェクトを考案した先輩たちが卒業してしまった頃、あるいは新入生が加入してから、「ゴジラバクテリアはどうなるのか」、「iGEM に出ないならこのサークルは何なんだ」、「iGEM に出るには何をしたらいいのか」など、たくさんの課題(疑問)がメンバーたちから生まれてきました。これらの課題に対してメンバー、一人一人が自分のこととして向き合い始めたときに初めて、私たちがチームとしてiGEMを目指し始めることができたのではないかと感じます。
昨年はほとんどなかった、チーム内での意見のぶつかり合いやお互いに対する不満(と言うとネガティブに聞こえますが)も見られるようになりました。大小様々な規模の話し合いが増え、Discordでのやりとりも増え、チームとして少しずつ成⻑していくiGEM TOYAKUに、チームリーダーとして参加できたことは本当に幸運だったと感じています。
貫禄がない、挨拶が締まらない、引っ張っていってくれない、etc... 私にリーダーとしての素質はあまりなかったかもしれません。今の私が読んでくださっている皆さんに新しい知見を示すことは難しそうですが、強いていうなら、どんなに大きな目標を掲げても一つ一つは地味で地道なことの積み重ねだということを実感しました。チームリーダー(あるいは何かしらのリーダー)を経験された方は、リーダーならではの苦労ややりがいを見つけているのではないでしょうか。チームリーダーは私にとって、どんな時もチームのことを一番身近に感じることができる、とても良いポジションでした。
「困難は分割せよ」これは私が中学生の頃に国語の授業で読んだ、「握手」に登場するルロイ修道士のセリフです。「あせってはなりません。問題を細かく割って、一つ一つ地道に片付けていくのです(以下略)」と続きます。最近になってこのセリフの重要性を感じる日々です。iGEMへの道のりはこれからも困難の連続だと予想されますが、千里の道も一歩からですね。
今後について
ここまで感慨深く語ってきましたが、書きながら「なんだか文章⻑いな」と思い始めました。振り返りが⻑くなるのは、あと数ヶ月で4年生になるという現実から目を背けたいからかもしれません。春からは脳のしくみと精神疾患を扱う研究室で卒業研究をする予定です。合成生物学やゴジラバクテリアの「ご」の字もないような分野ですが、かねてから興味があった、脳とこころの不思議について研究できたらいいなと思っています。
この1年はあっという間だったので、アドベントカレンダーを書くことで立ち止まって振り返ることが出来ました。来年のことを言えば⻤が笑うと言いますが、今後のiGEMへの関わり方はなにかと不確定要素が多い気がします。メンバーが頼もしくなっていくのと同時に、私の出る幕ではないなと感じることも多くなってきました。
これまで私がiGEMにいることで得られた様々な機会や挑戦は、なるべくたくさんのメンバーに経験してほしいなと思います。一方で、冒頭で触れたように、Jamboreeに出場しない限りリセットされない 1 年は、iGEMを始めた1年生の秋から私の中で今もまだ続いているようです。これからも今までに得た経験や知識をチームに還元しつつ、私にしかできないことを探して、iGEM2024に向けてまた走り出したいと思います。
これからのiGEM TOYAKUもどうぞよろしくお願いします。
元祖ゴジラバクテリア(左)とスタンプになったゴジバクちゃん(右,作:A枝さん)です。(スマホだと上下)
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